第13章 女装デート
加州「それで、これからどうするの?」
まるで何事もなかったのかのように、向かい合って温めてきたお弁当を食べながら加州が話しかけて来る。
「そうだなぁ、加州がどれくらいこっちの世界にいることになるかわからないし、服とか色々いるよね。」
加州「確かに。」
寝巻きの浴衣のままこちらに来てしまった加州は、戦闘服はおろか内番服も無いのだ。
例え家から出ないとしてもずっとこれでは困るし、せっかくなら加州と色々な場所にも出掛けたい。
「夕飯の材料も買いしたいし、今日はもう仕事もないからデパートにでも行こうか!」
加州「デパート?」
不思議そうな顔をしている加州をよそに、七葉は空になったお弁当のパックを捨て、クローゼットの中をあさり始める。
「はい。」
しばらくして加州に差し出されたのは、ブラックのロングワンピースとブラックのストッキング、ブラックのトレンチコートにボルドーカラーのマフラーだった。
加州「コレは?」
加州は渡された服をちらりと見て、今度はアクセサリーをあさっている七葉に呟く。
「ん?加州と言えばイメージカラーは赤、黒、金でしょ?はい、これも!」
七葉はそうゆうと、今度はホワイトにゴールドのバックルのベルトとゴールドのブレスレットを渡す。
「外で待ってるから、着替えたら出てきてね。」
加州「えっ、ちょっと主ッ!?」
これ主のってことは女物じゃ、、、と突っ込みを入れる間もなく部屋を出ていってしまった七葉に呆然とする。
加州「これも主と2人きりで買い物に行く為、、、」
加州は、そんな事を呟きながら洋服に袖を通すと、ふわりと柔軟剤の香りがした。
「加州ぅ~世界一可愛いよぉ~!!」
玄関にご丁寧にも用意されたブラックのヒールブーツを履いて外に出ると、こちらに気づいた七葉が満面の笑みで寄ってくる。
加州「これ女物じゃないの?俺、主の基準がよくわからない。」
嬉しそうにしている七葉に、加州は呆れながらうったえる。
「ん~だって寝間着じゃ外いけないし、浴衣や袴とそんな変わんないよ?」
加州「だからって、、」
「乱ちゃんだって着てるし、気にしない!気にしない!」
そう言って笑う主に、加州はもう半ばどうでもよくなった。
主が喜んでくれるなら、今はただそれだけでいいと思える。