第6章 突然の帰還
加州「じゃあ俺、先に行って朝食の準備してるから、主は五虎退を起したら身支度をして厨に来てね。」
加州はそう言うと、まるで何事も無かったかのように起き上がり布団を畳んで部屋を出ていってしまった。
残された七葉は呆然としていたが、とりあえず言われた通り五虎退を起しにかかる。
「五虎ちゃん、朝だよ~」
五虎退「あ、、あるじ様、、おはようございます。」
「うん、おはよー!五虎ちゃん、昨日はよく眠れた?」
念のため確認すると、五虎退は嬉しそうに返事をする。
五虎退「はい、、あるじ様のおかげでです。あるじ様は、、その、、あったかくて安心します。」
にっこりと笑った五虎退につられて七葉も笑顔になる。
「そっか、なら良かった!」
二人で布団を片し五虎退が部屋を出ると、七葉は着替えようと浴衣を脱いだ。
浴衣は間違いなく昨日こちらで寝た時の物だが、下着は違っていてあちらで入浴後に着た物だった。
「ん~やっぱこれって夢なのかな?にしてはリアルな、、、」
もんもんとしながらも自分のほっぺをつねってみる。
「痛ッ」
どうやら夢でもないらしい。
七葉は腑に落ちないまま、とりあえず支度を済ませて厨へと向かったのであった。
厨につくと、加州と五虎退がそれぞれ分担して調理をしていた。
七葉は竃でご飯を炊いている加州に近づいて声をかける。
「加州、何か手伝う事ある?」
加州「あっ、主!それじゃぁ俺、今手がはなせないから、そこにある物、適当に切ったり茹でたりしておひたしとお味噌汁作ってくる?お湯は沸かしてあるからさぁ。」
「了解!」
七葉は加州に頼まれた通り目の前のほうれん草をさっと洗い、湯がいて水でしめる。
続いて豆腐と油揚げを適当に切って鍋に入れ、味噌をといて冷していたほうれん草をそのままざくりと切るとお皿におひたし、お椀に味噌汁をよそいそれぞれの膳にのせ加州に声をかける。
「終わったよ!後は?」
加州「もう!?それじゃあちょっと、五虎退の様子を見てやって。なんだかさっきから騒がしいんだよね。」
加州の視線の先を見ると何やら外でバタバタしている五虎退が目に入る。
「わかった。」
七葉は返事をして五虎退の元へと向かった。