第5章 初めての鍛刀
「わっ!五虎ちゃん大丈夫!?」
慌て駆け寄り布団を持ち上げる。
五虎退「はい、大丈夫、です。」
そのまま布団を持つと五虎退は七葉の浴衣の裾を掴んでうつむいた。
五虎退「あの、、その、すみません。」
七葉しょんぼりしてしまった五虎退の頭を撫でる。
「気にしないで。寧ろ、一緒に取りに行ってあげれば良かったね。」
よしよし、としていると加州も部屋から出てきた。
加州「俺も主の部屋に泊まろうかなぁ?」
「え、何で?沖田組の部屋は、確か廊下をはさんですぐ隣じゃ、、」
七葉の突っ込みを無視して加州は五虎退に話しかける。
加州「五虎退もいいよね?」
五虎退「はい。じゃあ、三人で寝ましょう。」
加州「だって。」
加州は、嬉しそうに返事をした五虎退を撫でて、俺も布団とってくるから。と早々に自分の部屋に行ってしまった。
「なっ、何故こうなった?」
すぐに布団を持って戻ってきた加州と、五虎退の間でとんとんと話が進み、いつの間にか川の字で布団が用意されている。
七葉はその真中の布団に寝かされ、右隣には五虎退、左隣には加州が寝ている。
五虎退の布団の回りには子虎達がそれぞれ思い思いの場所で丸くなっていた。
加州「灯り、消すよ~。」
加州が行灯の明かりを消すと、辺りが暗くなる。
てっきり真っ暗になるかと思っていたが、窓から入ってくる月の光で夜目がきかないほどではなかった。
五虎退「あるじ様、おやすみなさい。」
加州「主、おやすみ~。」
「二人ともおやすみ。」
二人に挨拶をして、目を閉じる。
そういえば、結局色々なことがあって、加州に帰る方法を聞きそびれた。
明日にはちゃんと聞かないとなぁ。1日2日なら、体調不良や友達の家に泊まっていたでごまかせるが、長くなると音信不通のままは非常にまずい。
そんなことを考えているうちに、七葉は早くも夢の中へとまどろんで行くのであった。