第32章 荷物
「ふふふ。しゃべるキツネさんは、ただのキツネじゃないと思うよ。」
薬研「だな。」
本体「、、そう、だね。」
七葉の言葉に、2人は同意する。
お付きのキツネ「なんと!鳴狐まで!」
お付きのキツネはまた驚いたように声を弾ませていた。
薬研「荷物、ここでいいか?」
薬研は、自室に入ると部屋の隅に荷物を下ろす。
「うん、ありがとう!着替えたら厨に行くから、先に行ってて。」
急いで箪笥をあさりながら言うと、薬研はのんびりした口調で答える。
薬研「あぁ、その必要はないぜ。朝飯なら粟田口で用意したからな。今頃、小広間に乱と五虎退が配膳してる。」
「え、そうなの?」
七葉が驚くと、お付きのキツネが続ける。
お付きのキツネ「はい。鯰尾殿と鳴狐は、皆さんを呼びに行くところだったのですよぅ。」
「そっか、ありがとう。ん?と言うか、それじゃあの言い訳は、、、」
七葉は、さっきの状況を思いだし動揺する。
鯰尾め、今頃絶対また笑ってるだろ。
そうなことを想像し、心の中で悪態をついていると状況が掴めていない薬研が声をかけてくる。
薬研「大将?さっきから百面相してるが、どうかしたのか?」
「いや、うん、ちょっとね、、、それより、私そろそろ着替えたいから、部屋の外に出てもらえるかな。」
曖昧な言葉で濁しつつ、ずお~となってる心を静め答えると、薬研がニヤリと笑って言う。
薬研「そうか?なんなら、ついでに着替えの手伝いもしてやろうか?」
「い、いらないよ!」
七葉はその言葉に、今度は顔を赤くする。
本体「薬研。」
お付きのキツネ「いけませんぞ、薬研殿!」
薬研「ははは、冗談だ。」
薬研は鳴狐に嗜められると、笑いながら部屋の外へと向かって行った。