第32章 荷物
愛染「で、何で俺のとこに来るんだよ、、、」
「だっ、だって~。」
あれから七葉は、来派の部屋を訪れていた。
口づけの後の甘ったるい雰囲気と、加州の「主、このままここで一緒に寝る?」の言葉に慌てて、「愛染に明日の近侍だって伝え忘れたから自分の加州は部屋に戻ってて!」と部屋を出てきたのだ。
愛染にそのことをかい摘まんで話し、独りは嫌だけど沖田部屋も粟田口部屋も今は無理!と説明すると、愛染は大袈裟なため息をついて言う。
愛染「はぁ~、しょうがねぇなぁ。余ってる布団、敷いてやるから主さんはそっちに寝ろよ。」
「うん!ありがと愛染、大好き。」
押し入れに向かった愛染の後ろを、七葉がお礼を言いつつついて行くと、愛染は少し赤い顔をしてまた盛大にため息をついた。
愛染「加州の気持ちもわからなくないな、、」
「ん?何か言った?」
七葉は、愛染が押し入れの襖に手をかけたままぼそっと言った言葉が聞き取れず、首をかしげる。
愛染「な、なんねでもねぇよ!ほら、枕。」
「わっ」
愛染は七葉に枕を放り投げると、自分は布団を引っ張り出して広げ、その上に掛け布団を乗せた。
愛染「これでいいだろ?」
「うん!」
七葉は、愛染が用意してくれた布団に枕を置くとそのまま布団に入る。
愛染はそれを見て部屋の灯りを消すと、自分も用意してあった布団に入った。
愛染「なぁ、ここに泊まったこと、アイツらには言うなよ?」
「え?何で?」
愛染「何でって、、、色々面倒だろ?」
「ん~、よくわからないけど、わかった。」
愛染「わからねぇのかよ;」
愛染の呆れた声が、可笑しくてつい笑ってしまう。
「ふふふっ、でも愛染は優しいね。面倒だって言いながらもこうして布団まで用意してくれるんだもん!」
七葉がそう言うと、愛染は当たり前とでも言いたげに答える。
愛染「そりゃあ主さんは女なんだし、畳に転がしとけないだろ?つーか、その、愛染っつー呼び方。主なんだから俺のことは国俊でいいぜ。螢もそう呼ぶし。」
「うん!じゃあ国俊!やっぱり国俊は優しいよ。」
そう言ってまた微笑むと、愛染はばつが悪そうにぶっきらぼうに返事をした。
愛染「わかったから、もう遅いし寝ろって。」
「うん!おやすみ国俊。」
愛染「おぅ、おやすみ。」