第27章 にぎりめし
温泉からあがり厨の前を通ると、何やら賑やかな声が聞こえてくる。
気になって覗いてみると、粟田口の3人が朝食の準備をしていた。
薬研の手には、通常の5倍以上はありそうなご飯がのっている。
乱「あっ、ちょっと薬研!ご飯、多すぎ!」
薬研「ん?そうか?」
薬研は乱の言葉を気にもせず、握るというよりペチペチとまわりを叩いてそのままご飯を丸くする。
五虎退「薬研兄さん、おにぎり、、大きい、です。」
五虎退もそう言って呆気に取られているが、薬研はそのままそれに具を埋め始めた。
梅干し、塩昆布、おかか、たらこ。
あらゆる角度からねじ込まれる具に、また乱が慌てる。
乱「て、言ってる側からいったい具、何種類詰めるのさ!?」
薬研「全部だな。色々入ってた方が飽きないし、うまいだろ?」
薬研はそう言うと、空いている隙間にまた鮭をねじ込んだ。
乱「もう!それ、いったい誰が食べるの?」
呆れながら乱が聞くと、当たり前とでも言わんばかりの返事がかえってくる。
薬研「ん?そんなの大将に決まってるだろ?いっぱい食わせて、体力つけさせないとな。」
薬研はそう言いながら回りに塩をふると1枚海苔をそのままペタペタと貼る。
薬研「よし!」
出来上がったおにぎりは、もはやにぎりめしではなく投石だ。
「や、薬研さん!?」
一部始終を見ていた七葉は、思わず薬研に声をかける。
薬研「お、大将、風呂あがったんだな。どうだ、なかなか良かっただろう?」
「あっ、、うん、、。」
薬研の問に言葉を濁すと、薬研は不思議そうに聞いてくる。
薬研「何だ?大将、気に入らなかったか?」
「いや、そうじゃないけど、、、」
何とも答えづらく困っていると、おにぎりに戸惑っているからだと勘違いした乱が代わりに言う。
乱「主さんは、たぶん薬研のおにぎりに引いてるんだよ。」
薬研「そうなのか?」
「うん、その、、すごいね。」
まぁ実際それも事実なため、七葉が答えると薬研は誇らしそうに言う。
薬研「まぁな、俺っちの特製にぎりめしだ。大将にはしっかり食って、頑張ってもらわないとな。」
「あ、、ありがと、、、」
すごい、の意味を恐らく勘違いしている薬研に、とりあえずお礼を言いつつ、どうやって食べるか考えていると後ろから愛染と加州がやって来た。