第22章 違和感
レンジでご飯とカレーを温めながら、サラダを作っていると薬研がマグカップを持って2階から降りてきた。
「薬研、飲みものどうする?私麦茶にするけど。」
冷蔵庫からペットボトルをとり出しながら言うと、薬研はマグカップを差し出す。
薬研「大将、珈琲で頼む。」
「薬研、珈琲気に入ったんだね。」
七葉は微笑みながら言うと、マグカップを受け取る。
薬研「あぁ、悪いがさっきも勝手に入れさせてもらった。一応ことわるべきかと思ったが、仕事の邪魔するのも気が引けてな。」
薬研は、ちょっと困った顔をする。
「良いよ、気にしないで。飲みものは好きに飲んでくれて構わないから。あっ、ただ空になった時は教えて。無くなったのリストに書かないと、買い物行った時に買い忘れて来ちゃうからね。」
七葉はそう言いながら、珈琲の粉を入れる。
「そう言えば買い物で思い出したけど、丁度今豆切らしちゃってたんだよね。薬研も珈琲を気に入ったみたいだし、他にも買いたい物あるからお昼を食べて書類出したら、そのまま出掛けようか。」
お湯を注ぎ珈琲を差し出すと、薬研は受け取りながら言う。
薬研「わかった。この時代にも興味があるし、豆も気になる。」
七葉は、何処と無く楽しそうな雰囲気の薬研を微笑ましく思いつつ、自分の麦茶も持っていってもらいレンジからカレーを取り出した。
「そう言えば薬研は眼鏡とか白衣とか、なんであるの?確か昨日枕元に畳んで置いてたよね?」
カウンターからカレーを渡しながら、七葉は素朴な疑問をたずねる。
薬研「あぁ、加州の旦那の話じゃ身につけてた物だけ移動できたってことだったったからな。駄目元でこう、腕を。」
薬研はカレーを置くと空いた片手を伸ばし、枕元の荷物にタッチするジェスチャーをする。
「ふふふっ、それで運べるなら薬研、寝る時マグカップと珈琲持っていきなよ。」
薬研「それだ!」
目を輝かせた薬研に、こう言うところは短刀らしくて可愛いなぁと思いながら、サラダとドレッシングを運んで席につく。
カレーを食べながら、そう言えば結局加州には食べさせてあげれなかったなぁふと思う。
私も今度カレールーをポケットに入れて行こうかな。
そんなことを考えながら昼食を済ませ、食器を下げて出掛ける準備をした。