第20章 心音
途中自室に寄り布団を持って来てくれた薬研と、廊下を歩きながら七葉は先程から気になっていた事を質問する。
「ねぇ薬研、私粟田口の部屋に行くって約束してたっけ?」
すると薬研は、悪怯れる事もなくさらっと答えた。
薬研「いいや?大将は1人じゃ寝れねぇみたいだし、 昨日加州の旦那の部屋に泊まったんなら、今日はうちだろうと思っただけだ。」
「なっ、1人で寝れない訳じゃ、、」
反論しようとすると、すかさず薬研が答える。
薬研「そうなのか?なら何で沖田部屋に行ったんだ?」
「あっ、いや、、」
返事に困り、観念した様子の七葉見て薬研は笑った。
薬研「まぁ、何にしても乱や五虎退も喜ぶだろうし良いだろ?」
「それは良いんだけど、、」
大人なのに夜1人になると不安で寝れないなんて、恥ずかしくてあんまり短刀ちゃん達には知られたくなかったんだけどなぁ、、などと考えていると言葉を濁したまま黙った七葉に、薬研が不思議そうな顔をする。
薬研「どうした大将?」
「なんでもない。」
七葉が考えていた事をとっさに隠すと、それに気づいた薬研から的外れな返事がかえってきた。
薬研「心配しなくても兄弟がいるんだ、とって食ったりはしないさ。」
薬研の言葉に七葉は慌てて否定する。
「べっ別にそういう事考えてたわけじゃ、、、」
薬研「なんだ、てっきり期待してくれたのかと。」
「なわけないでしょ!」
笑っている薬研にどうなってるんだこの短刀は、と心の中で突っ込みをいれているうちに粟田口の部屋についた。
乱「あれ?主さん、いらっしゃい!薬研、遅いと思った主さん誘ってたの?」
薬研「あぁ、勝ち取ってきた。」
誇らしげに言った薬研になんだそれと笑っていると、五虎退がよってくる。
五虎退「主さま、また、一緒に寝れるの、嬉しいです。」
「うん。」
返事をして五虎退の頭を撫でていると、布団をおろした薬研が言う。
薬研「さぁて、寝る場所どうすっかな。」
乱「ボク、主さんの隣がいいな。」
五虎退「僕も、です。」
「じゃあ、2人の間に、、」
薬研「よし、じゃんけんだな。」
七葉が乱と五虎退の間に移動しようとすると、食いぎみに薬研が言う。
「薬研大人気ないよ。」
七葉が言うと、薬研はしれっと答えた。