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フタゴイロ

第2章 黒い笑顔に気をつけろ




一先ずリビングへどうし、ダイニングテーブルへ
向かい合わせに座った。

客にお茶ぐらい出せ?

大丈夫。こいつは客じゃない。


「で、訪問してきた理由は?」

「だから、一緒に学校行こう!」


そんなキラキラした眼差しを向けるな。

心底嫌な顔をしながら奏多を見ていればあることに気がついた。


「そういえば、叶多は?」

「あぁ、叶多なら・・・」

「ここだが?」

「はっ!?」


声のする方へ振り返れば、噂の人。
奏多の双子の片割れ、叶多がリビングの入口の壁に背を預け
さも当然かのように出現していた。

びっくりしすぎて思わず椅子から落ちそうになるのを
なんとか持ち堪えた。


「ど、どこから・・・」

「ん?」


ニッコリ笑顔を向けてくる叶多に悪寒が走った。
油断できない・・・。


「さぁ、紋。そろそろ登校の時間が迫ってる」

「だから何ですか?」


ニコニコと笑うその顔にビクつきつつも返事を返す。


「学校、行くよな?」

「今日は欠席します。具合、悪い」


だんだん叶多の笑顔が怖くなってきて
思わずカタコトな喋りになってしまったが
ここで怯んではダメだと、自分を奮い立たす。

今日は休むと決めたじゃないか
この邪魔な双子を追い返して、二度寝を決め込むんだ

昨日のことなんて忘れて


「す、すぐに支度してきます・・・」


やっぱり怖かった。


「早くしろよなー」


相変わらずヘラヘラ笑ってる奏多に怒りが込み上げるが
叶多の顔を見たら引っ込んでしまった。

こんなの脅し以外の何者でもない。


私は叶多の恐怖に打ち勝つことができず
渋々登校するために支度を整えるのだった。





(ちょ、着替えるので部屋に入って来ないでください)

(いいじゃん、減るもんでもないし)

(そんな黒い笑顔を向けないで。そして消えて)

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