第3章 彼と私の秘密の言葉(三成)
翌朝、家康が薬を持って様子を見に来ると、
襖の外には秀吉がいた。
愛の具合が気になるものの、
昨晩の事があるので中に入れずにいるのだ。
「なにやってんですか…」
家康に冷たく言われ、バツが悪そうな顔をする。
何も言わずに襖を開けようとする家康に、慌てて、
「おまっ、家康っ!」
と言葉にならない声をかけるが、時既に遅し。
開かれた襖の先には、三成の胸の中にスッポリとおさまって
寝息を立てる愛の姿があった。
三成もまた、しっかりと愛を抱きしめ、寝息をたてている。
2人の寝顔には朝日が当たりキラキラと輝いていた。
「…なんなの、この眩しい2人は…。」
家康がため息をつく。
秀吉はうまくおさまった2人を微笑ましくも羨ましげに見つめていた。
そしてもう1人…。
家康と秀吉の後ろから、面白く無さそうな顔の政宗が呟く。
「なんだこの、お似合いの2人は…面白くねぇな」
『一旦引きますか…』
そう言うと、家康は襖を締める。
秀吉も政宗も渋々従う。
3人の足音が遠ざかると、三成は、ふぅ〜と息を吐き出した。
すると、「起きてたの?」と愛。
2人は目を見合わせてクスクス笑う。
「なんか…私、勝手に三成くんにいっぱい言葉を求めてたけど…
言葉なんかいらなかったんだね。
だって、ギュってすると、こんなに分かり合えるんだもん。」
そう言うと三成の大好きな笑顔を見せる。
『私も…どうしていいかわからない事だらけで、
何の言葉も言えずに愛様を傷つけてしまいましたね』
そう力なく申し訳なさそうに笑う。
「これからは、三成くんが私に気づかなくても、
ギュって抱きついて帰るね?」
『それに気づかないようじゃ、男が廃りますね。
私も、伝えきれない思いは、こうしますから』
そういうと、布団の中で優しく、力強く愛を抱きしめる。
『誰よりも、私が愛様の笑顔を作って行きますね!』
そう言うと、まぶしすぎる笑顔をくれる愛を
最高のエンジェルスマイルで見つめた。
『もう他の誰にも触れさせませんからね?』
こうして抱きしめるたびに、愛様は
私の一番欲しい大好きな笑顔を見せてくれるんですから…。
第3章 終