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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第19章 あの星空の彼方に(謙信)


「うん。こっちにきて最初の頃、
どうすればいいかわからなくて心細かった時も、
こうやって夜空を見上げたら、現代と変わらない星座が瞬いてて…
凄く安心できたんだ」



『星の位置は五百年位では変わらないからな。
ほら、君の好きな冬の大三角形もよく見える』


「シリウス・プロキオン・アルデバラン…
あ、アルデバランは五百年前の光が見えてるから、
現代で見てた光は、今日輝いたものだったのかもしれないね!」


愛の無邪気な声が、佐助には幼い日の自分たちの姿と重なった。


『あぁ。そうだな。子供の頃、その事を君に伝えたら、
目をキラキラ輝かせていたのを思い出した』


「私の方が星が好きだったのに、
いつのまにか佐助君は宇宙物理学なんて専攻して、
私よりもどんどん詳しくなっちゃったね」


そう言って愛が佐助に笑いかける。


『俺が宇宙物理学者を目指したきっかけは…』




ーーシャッーー





佐助が言いかけた時、二人の後ろで勢いよく襖が開く音がした。




「佐助、呼びに行ったまま戻らないと思えば、
愛と何をしている」


謙信の苛立った声が響いた。


「謙信様!すみません。私が準備に少し疲れてしまって休んでたんです。
遅くなってしまい申し訳ありません」


そう言って謝る愛の後ろには、綺麗な月が輝いていた。


謙信は、一瞬瞳を揺らし息を飲む。
頭を下げた瞬間、ハラリと落ちる愛の髪が、月に照らされる。


何かに突き動かされるように愛に駆け寄ると、
その身体を強く抱きしめた。


「謙信…様…?どうしたんですか?」


明らかに様子のおかしい謙信に、愛はゆっくり腕を回し、
優しく何回もその背中を撫でた。



「どこにも…行ってくれるな…」


小さな声で耳元で囁かれた。
その声は低く、少し掠れている。


「どうしたんですか、何処にも行きません、
私はここにいますよ?遅くなってすみませんでした」


子供を宥めるような優しい愛の声に、
謙信は落ち着きを取り戻す。



佐助の姿はいつのまにか消えていた。



「すまなかった…。さぁ一緒に行こう」


謙信はそう言うと立ち上がり、愛に手を差し出した。
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