• テキストサイズ

イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第17章 我儘に甘えて(秀吉)


家康は、愛に薬を飲ませながら、
秀吉が出掛けている間の事を包み隠さず報告した。



愛は、その間中何か言いたげだったが、
まだ続く目眩と、薬が効いて来た気だるさで、
いつの間にか静かに寝息を立て始めていた。





「さっき家康が何か言い淀んだのは、この事か?」


一通りの報告を受けた秀吉は、眉間に皺を寄せたまま訊く



『えぇ。でも、愛が必死に
秀吉さんに心配かけないようにってしてたのを、
俺が不意にするのも躊躇われたんで…』



秀吉は複雑だった。
自分が側に居てやれなかった悔しさと、
愛に、気を使わせてしまった事。


そして何より、、一瞬顔を見に行っただけとはいえ、
まだ体調の優れなかった事を見抜けなかった自分が不甲斐ない。




『秀吉の気持ちもわかるが…
愛が目覚めてもあんまり責めるなよ?
全部お前を思っての事ではあるんだから。
まぁ、感心はしないがな』



政宗は秀吉の肩を叩き、言葉をかける。



「あぁ…わかってる…」



秀吉は何とも言えない、複雑な感情を押し込めながら声を絞り出す。




『さっきも…この子、何だかんだとかこつけて、
秀吉さんの事ずっと眺めてましたよ』



「えっ?だったら声かければいいだろ…」



今度は秀吉自身でも驚くくらい弱った声が出た。



『俺もそう言ったんですけどね。
忙しくしてる秀吉さんに迷惑かけるからって言ってましたよ』



『元来弱音は吐かない類の女だからなぁ。
治ったらせいぜい甘やかしてやるんだな』



政宗は、愛を見つめたまま何も言わない秀吉にそう声をかけると、



『後は秀吉に任せるぞ。起きたら声かけろ。粥でも作ってやる』


と、部屋を出て行った。



『熱は下がってますし、咳も殆ど出てないんで、
多分体力が戻ってなくて目眩を起こしたんだと思います。
念のため、夕餉食べたらまた薬飲まして下さい』



家康も、秀吉に告げると部屋を後にした。


二人きりになった部屋で、秀吉は眠る愛の頭をそっと撫でる。


「色々と我慢させてて悪いな…。
でも、もっと甘えてくれていいんだ…」



呟きより小さいその言葉は、
もうすぐ夕闇を連れてくるだろう傾いた陽の光に
かき消されていくようだった。



/ 773ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp