第14章 あなたへの恋文(家康)
『政宗さん、勝手に愛の部屋に…っていうか、
俺の御殿に何の用なんです?』
家康は、めんどくさそうに政宗を見る。
『別にお前に用はない。俺は、字の勉強してる愛に用があっただけだ』
悪ぶれる様子もなく政宗が答える。
『それで?こうかんにっきってなんなの?』
ひとつため息をついて、家康は愛に質問をした。
「交換日記っていうのは…好きな人とか、友達同士で、
その日会ったことを一日ずつ順番に回して書いて行く日記だよ。
一冊のノート…手帳?のようなものを使って、
次の人は、前の人に返事を書いたりしながら繋いでいくの」
『へぇ。面白そうじゃないか。
ま、そんな感じで、お前たちは二人で交換恋文をしていけばいいだろ。
あぁ、家康がめんどくさいって言うなら、俺が相手になってやってもいいぞ愛』
「えっ?政宗が?!」
急な申し出に戸惑う愛を無視して、
『俺がやるから大丈夫です!』
と、家康は強めに言った。
「やってくれるの?家康…その…大変じゃない?」
心配そうに言う愛に、
『別に。だいたい、俺以外に、あんたに恋文書かせるわけないでしょ』
と、言い残して、家康はその場を立ち去って言った。
『ははははっ!良かったな愛。
字も練習できる上に、沢山あいつから恋文もらえるぞ』
耳まで赤くした愛に、笑いながら言う政宗が一番楽しそうだった。