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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第11章  忍びの庭 前編(佐助)


佐助のいなくなった部屋は、急にシンとして、
愛はより一層の孤独を感じ、身震いをする。

「佐助君、あったかかったな…」

小さい頃から、愛が男の子たちに虐められると、
反撃してくれるのが兄と大翔、
そして愛の背中を撫でて手を繋いでくれていたのが佐助。

大人になってから、そんな機会は滅多になかったけれど、
兄と大翔が交通事故にあった日も、佐助は何も言わずに側にいてくれた。

「お兄ちゃん、大翔…、佐助君が側にいてくれるから、
頑張らないとね…泣かないように…」

暗い部屋でそう呟いた。



(佐助?どこかで聞いたことがある気がしますね…
愛様には、兄上と…ご友人でしょうか?
近くにはいらっしゃらないようですが…)

三成が愛の部屋の前に着いた時に、
中から独り言が聞こえた。

『愛様、三成です』

突然、襖の外から声がかかり、ビクッとする。

「は、はい!」

『入っても宜しいですか?』

「どうぞ…」

突然の事に気が動転したまま、部屋が暗いことも忘れて招き入れる。

ーシャッー

『え?』

襖が開くと同時に、三成の驚く声。

「え?」

愛はつられて声を出す。

『愛さま、失礼致しました。お休みになられてましたか?』

三成の質問に漸く意味がわかった愛は、慌てて行燈に火をつけに行く。

「ちがうのっ。帰ってからまだ灯りを点けてなくて…」

秀吉がいた頃はまだ外の光が入ってきていたが、
佐助といる間、なぜ気づかなかったのか、
陽は落ち、夜になりかけていた。

灯りをつけ、三成に顔を向ける。

『愛様…』

三成はそっと愛に近づくと、頬に触れるように指を伸ばす。

「え?三成…くん?」

『愛様、泣かれてたのですか…?』

「あ…」

佐助の前で泣きはらした事も忘れていた愛は、
慌てて三成の手を避けるように身体ごと後ろを向く。

「ごめんなさい。色々あり過ぎて…
三成君、なんの用だった?」

顔を見せずに訊く。

『秀吉様が、愛様が何も食べて無いだろうと…。
それに…愛様にとっては、辛い戦さ場だったのではと思いまして』

愛はその言葉に、びっくりして三成を振り返る。
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