第9章 アイ(家康)
「おい!おい!家康!」
政宗は離れて眠る床から聞こえる家康の唸り声に慌てて声をあげる。
「おい、大丈夫か?家康、起きろ!」
ーーガバッーー
家康は勢いよく布団ごと起き上がる。
「おい…大丈夫か、お前…。また魘されてたぞ」
寝汗をびっしょりかいた家康は、政宗の顔を見ると、
はぁーと大きな溜息をついて、
『夢か…』
と、片手を額に軽く当て、うなだれる。
「お前…なんであいつを行かせたんだよ。
そんなに魘されるなら、止めさせられることもできただろ…」
政宗と地方の諍いを収めに来ている家康は、
毎日のように朝魘されていて、毎日同じ様に政宗に起こされていた。
『すみません…。
自分でもびっくりしてます…』
政宗は呆れた顔で家康を見る。
「お前、いつも天邪鬼な発言ばっかりなのに、
本当は案外純粋なんだな…。
愛にはちゃんとお前の中身の方見せてんのか?
本当に愛想尽かされるぞ」
『余計なお世話です…』
家康は少しムッとした顔で目をそらす。
(愛にはちゃんと伝えてる…はず…だったのに)