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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第1章 ワームホールはすぐ側に(家康)


「ま、間に合った…」

夜明けまであと半刻ほどあろうかという時間に
薄暗い行灯だけを灯していた愛は
深いため息と共に心の声を吐き出していた。

最近では、愛独自のデザインが評判を呼び、
特に子供用の物が、大変可愛いと、
着物や羽織の依頼が後を絶たない。

それに加え、城の中からの依頼も多く、
特に年末から正月中の依頼が殺到した。

嬉しい悲鳴ではあるけれど、
年始から仕事を受けすぎてしまったと反省する。

(流石に受けすぎちゃったな…。
来月は少し減らさないと、持たないかも…
でも、これでもお断りして
来月にさせてもらってる分が
結構あるんだよなぁ)

最後の仕立ては、
深い海のように落ち着いた群青色の羽織。
政宗が遠出をした際に見つけたという反物から
作ったものだった。

「政宗、明日取りに来たら
なんていうかな…くすっ」

少しだけ遊び心を入れた刺繍を施している。
そこを撫でながら、クスりと笑った。

丁寧に畳み、

やっと今月最後の仕立てを終えて、
愛は、そのまま倒れこむように
畳に突っ伏していた。

「それにしても…」

(最近全然、昼間家康に会えてなかったな…。
ゆっくり2人で過ごせたのは初詣に行った以来…。)

疲れたり、弱ったりしている時ほど、
思い出すのは大好きな家康の顔。
こんな夜、家康に甘えられたら
どれだけ幸せか…

今、家康は領地の新年視察に駆けずり回っていた。
1日帰ってきては次の場所へ…

中々予定も合わず、ゆっくり話すことも
ままならない一月だった。

「家康もお仕事忙しいもんね。我慢我慢…」

自分に言い聞かせるように、
横になって畳の目を指でなぞりながら呟く。

「喉乾いた。」

疲れすぎて、心の声が全部声となって出てしまう。
言った割には、動けずに暫く寝転がったまま、
ボーッと天井に目を移した。

「佐助くんにも大分会ってないけど、元気かな」

愛はそう呟いたものの、
すぐに思考は家康へと戻されていた。




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