第10章 「愛とはどんなものかしら」
こんな些細な疑問を両親に問うと、
そんなことを考えるな
と。烈火のごとく怒られて、引っかかりを覚えた。
どうしようもなかった。
とりあえず、途方に暮れてみた。
気が済むまでどん底をさまよって、
それでも事態は動かないから、
「親の望むわたし」がなぜ必要とされているのか、
自分でよく考えてみることにした。
容姿。
自己主張の少なさ。従順さ。
気遣い。金銭感覚。夜の態度。
求められた条件を一つずつ分析する。
どうして、「こんな風にしていると愛される」のか。
考えるだけでも、自分の知っているアイデアしか出ない。
だから外部にも、親には秘密で知恵を求めることにして、
その結果。
私は両親に、
「未来の結婚相手への貢ぎ物」になるよう育てられていたのだと悟った。
簡単に言えば、
「質のいい奴隷をプレゼントするから仲良くしてね☆」
というやつだ。
容姿が優れているものを連れていれば、
権力を誇示できる。
大人しく無垢で従順なものを連れていれば、
簡単に騙せるし、優越感に浸れる。
怒られないし、気分を害することもない。
反撃もされない。
運命と信じさせていれば、
もうこれ以外に機会などないと思い込んで、
逃げることさえしようと思わないから、
心を砕いてやる必要もない。
安全で子供を産める、
優れたスキル付きの、反撃しない愛玩動物。
以上が、私に求められていた未来絵図。