第5章 5
この任務、割と結構な量ではないのか、と思う。
このノルマに気を病み、体調まで崩す審神者も少なくないことは、政府職員の中ではよく知られた話だ。
(いや、それより…)
月に一回行われる審神者の経過観察。
本日は病欠になった上司の担当審神者を、自分が面談することになったのだが。
任務のノルマ表の一枚次に、本日担当の審神者の、ここ一月の戦績と、資材の推移が記されている。
一日、最低でも60戦。
一日平均の出陣数は3桁。
資材は全く途切れることなく、4ケタずつ増え続けていた。
刀解の回数もまずおかしい。
三日月だろうがレア4だろうが、容赦なく刀解しまくっているのが見て取れる。
出陣先で得た刀剣を、どうやら片っ端から資材にしているようだ。
先ほどの月間ノルマも、1週間と数日で済ませてしまっている。
……さらに過去のデータに目を通す。
最初期から戦い続けているものの、精神状態は、開戦から未だ安定を保ち続けている。
男士との間にも目立ったトラブルは見受けられず、また女性の審神者にありがちな
「恋愛関係になることで精神を安定させよう」という無意識の動きも見られなかった。