第84章 ジャックダニエル
「大切に食べるね‥」
ああ、これが越えられない壁ってやつかな?
主ちゃんにこんな顔させられるの長谷部君だけなんだろ。本当に困っちゃうよね、特別って凄いんだなって、思い知らされたよ。
「燭台切、お前は良いのか?」
「…え?あぁ、主ちゃん、僕からも贈りたい物があるんだけど、ちょっとお酒使ってるし休む前に渡すよ。今日は僕等の部屋の番だし。ね?」
楽しみにしてて?と頭を撫でると、凄く楽しみ!と無邪気に笑う。
可愛いね、けど、僕にも長谷部君へ向けた様に笑って欲しかったなぁ。久しぶりに胸の奥がつきん、と痛む。
嫉妬か、これじゃ格好つかないな…
料理を始めた鶴さんを見に走る主ちゃんを目で追う。僕達の気持ち、届いたかな?