第82章 想いのカタチ
「薬研は、料理はからっきしだが握り飯だけは物凄く上手く作るらしいじゃないか。‥お前は無いのか?」
薬研が近侍の時、主の夜食に、と作った塩握りが絶品だったと聞いた。
「そうですな…どうしても私は火力調整が出来ないので、火を使わなければなんとか‥」
調理本に目を落としながら、火を使わないなんてあるんでしょうか?と呟く。火を使わない、か…燭台切なら何か知っているんだろうが。
「オーブンは使えるか?俺が全部やっては意味がない気もするんだが。」
「そうですな、御手杵殿の様に爆発させる事は無いとは思いますが、如何せん使った事が無いですから‥教えて頂ければ出来るかと。」
はぁ、これではこいつの作る物が気になって自分の事が調べられないじゃないか。