第74章 君がため
そうか、主を悲しませない為にはいつも通りで居れば良いんだな。今みたいに笑って貰うには、傍にいて俺達が笑っていたら良いのか‥
ぎゅっと抱き締めると、元気出た?と、くすくす笑う。
「‥君がため 惜しからざりし 命さへ ながくもがなと 思ひけるかな……か。」
「ん?きみが、ため‥??」
「いえ、何でもないですよ。‥はぁ、俺の主は可愛いな。」
なんだよーと、嬉しそうに俺の胸に頭を擦り付けてくる主の背中を撫でる。額に口付けすれば、唇が良いです、と首に腕を回してくるのが愛しくて仕方ない。
「主ちゃーん、僕も居るからねぇ?」
「朝のお返しですー!」
ぎゅっと抱き付きながら燭台切にそう言う主を、離したくないなと強く思った。