第74章 君がため
気持ちばかり強くなるだけで、何も返せていない。
むしろ、この前の面談の時のように抑えが利かなくなって、想いだけ押し付けて迷惑を掛けている方が多い様にも思える。
「……だめだな、俺は。」
「長谷部君はさ、考え過ぎなんじゃないかな?優しくて聞けないのと同じ。君は主ちゃんの特別なんだろ?もっと自信もって行動しても良いと思うんだけどな。」
「……。」
そう言われてもな‥
「ねぇ、伽羅ちゃん凄いの!ブラッシングしてもらったら二匹とも毛艶がつやっつや!!」
猫部屋から出てきた主が、隣に座って嬉しそうに話す。
「良かったですね、主。」
「‥うん?うーん。長谷部、ちょっと…」
すっと両手を伸ばしたかと思えば、俺の頭を胸に抱えて撫で始める。