第73章 帷
「長谷部君、長谷部君、起きてる?ちょっと開けてくれない?」
あの後、泣き疲れて眠ってしまったちゃんを抱いて部屋に戻る。
ちゃんの部屋へ連れて行こうとも思ったけど、今は一人にさせたくなくて、僕達が借りている部屋へ連れて来た。
「何だ、燭台切!扉くらい自分で開け…‥!!?」
へぇ、長谷部君ってちゃんをそう呼ぶんだね…
「しーっ!起きちゃうだろ?」
「悪い…いや、どうしてお前が主と居るんだ?」
僕が寝ていた布団に寝かせて頭を撫でる。
「朝になったら話すよ、君にも皆にも。だから今は静かに寝かせてあげてよ。」
「……。」
不貞腐れた様な顔をしてちゃんの反対側へ腰を下ろす。