第70章 子守唄
「じゃあ、お願いします。」
ベッドに腰掛け俺に背を向ける。
ドライヤーでばばっとやっちゃって!と、渡されたが、主命でも受けられない事もある。
「主の髪は黒曜石の様に黒くて綺麗ですね。」
「そうかな?昔は色んな色にしてたんだぁ。赤とか金とか!」
ふふ、と笑う主の髪を優しく梳かしながら温風を当てる。
「一期や鶴丸みたいにしてみようか?」
「勿体無い、俺は今の方が好きですよ。」
そう伝えれば、嘘だよ、とまた笑う。
ああ、笑っている。嬉しいな、先程の辛そうな笑い方とは違う、俺はこの笑顔が好きなんだ。