第69章 心做し
「ふっ‥あんた、やっぱり可笑しな奴だな。」
そんな事ないですよ、と口を尖らせる。
こいつを見ているのは飽きないな。初めて光忠に連れられてこいつと会った時もそうだ、俺みたいな無名刀を格好いいとか綺麗とか、どれだけ冷たく当たってもいつも笑っていた。
それで最後は一人でなんか死なせない、だ。
あの時からか、この気持ちが何なのか解らなかったが、近付きたいと思ったのは。
「‥光忠はどうせ、ちゃん付けで呼んでるんだろ?俺もそう呼んでやろうか?」
尖らせた唇をつんと指で弾くと、そんなの伽羅ちゃんじゃない、と笑った。