第5章 シュレディンガーの猫
温かい、柔らかい、可愛らしい、これが楽しいという事なんだろう。
「斬り合い殺し合いから離れられない私達でも、恐怖や痛み、悲しみ以外の色々な事を知って感じて欲しいと、主殿は仰っていました。せっかく人の身体を得たのだから、楽しまないと損だと。」
「…そうか。」
馴れ合いなどしなくていい、一人で戦い一人で死ぬ‥俺はそれでいいと思っていたのにな。
「穏やかで幸せな事を知ってこそ、今を守る大切さが解るんだそうですよ。」
「……。」
「何気無い一瞬にも幸せを感じられる私は、幸せ者だなと思うんです。」
起き出してきた粟田口の奴等が部屋に走って来る。‥賑やかで笑い声の絶えない毎日か……