第37章 鍵②
霧が晴れるように、光が差し込むように、目の前が明るくなったような不思議な感覚がした。
「主よ、俺を覚えているか?」
「三日月…みかづき‥!」
あぁ、三日月だ!膝に座らされたままぎゅっと三日月を抱き締めると、嬉しそうに頭を撫でてくれる。
「三日月はあの時から全部を見ていたんだね‥ごめんね、思い出すのが遅くなってごめん。…私は苦しさに負けて、大切な物を手放したんだ。本当にごめんなさい‥」
「気遣ってくれるか、やぁ嬉しいな。……ずっとこの時を待っていたんだ。帰ってくれて本当に嬉しいぞ、主よ。」
ふわっと包まれた三日月の温かい腕に安心する。