第36章 鍵①
「近う寄れ‥なんてな。これでどうだ?」
寒そうに手を擦る主の肩を抱いてやれば、温かいね、と笑いながら俺の肩に頭をこつんと凭れさせる。
はっはっは、可愛いな…頭を撫でてやると、三日月が撫でてくれるのは初めてだね、と少し照れて見せた。
「なぁ、主?少し俺の昔話を聞いてはくれないか?…なぁに、ただの戯言だ、聞き流してくれていい。」
「うん、昔話?何だろう?」
あぁ、昔話だ。
「昔々、とある本丸に周りが羨むような仲睦まじい審神者と一人の男が居たんだ…」
……
そう、それは本当に仲のいい二人だった。