第31章 甘えかた
主殿が本丸の皆の為にと作られた壁掛け、弟達が“桜の壁掛け”と呼んでいるそれの前で、今日も何人も桜の飾りの数を数えている。
「一兄!一兄は桜の飾り、いくつ集まりましたか?」
「見て一兄、ボクもうすぐ目標達成しそうなの!貯まったら、あるじさんに新しいワンピース買ってもらうんだぁ!」
この、誉を取った数で褒美を貰える仕様になってから、本当に弟達が楽しそうだ。戦場を苦手としていた子も、前より頑張っているみたいだしね。
「日々の鍛練、頑張っているかな?平野はどのくらい貯まったんだい?乱も偉いね、あと少し頑張るんだよ!私?私は…」
そう言いながら、壁掛けの袋に入れていた桜の飾りを取り出すと、キラキラと沢山の小さな桜が掌に咲いた。