第94章 今を生きる
主の部屋に来る途中、同田貫さんや陸奥守さん達何人かに会ったけど、やっぱり皆長谷部さんと主は見てないみたいだった。
「次郎さんに至っては、お酒取りに行ったとか言って話にならなかったしなぁ。」
あの酔い方だと、日本号さんと顔を合わせたらすぐに酒盛りでも始めそうだよね。
「お邪魔しまぁ〜す。…って、やっぱり誰も居ないんだぞ。」
出入りが激しかったせいか、開いたままになっている主の部屋を覗くけど、中はさっき来た時と何も変わらないみたいだ。二人とも本当に上に居るのかな?
「……。」
天井を見上げて耳を澄ますけど何も聞こえないんだぞ。
「えっと、奥の戸棚の左側だったな。」
そっと部屋に入り、一番奥にある引き戸に手を掛けると、キッと音を立てて開く。