第94章 今を生きる
「……僕達は、一度ここでの時間をやり直してるんだ。」
「やり直す?そんな事可能なのか?だ、だってそれじゃ敵と変わらな‥」
「そう思うよね、けど違う。僕等は狐に化かされたんだよ、そのお陰で今がある。……僕達は一度、江戸で長谷部君と生き別れたんだ。‥そして全てを無くした。だから主ちゃんはそれを未だに怖がって、江戸へ行かせるのを躊躇うんだよ。」
解ったかな?って言われても頭が追い付かないんだぞ…燭台切さんは嘘は付かないと思う。けどそれって本当なのかな?
「うん…でも‥うーん。」
「信じられなくても仕方ないよ。けど、これが僕達の歩んだ現実で、うちの本丸の歴史だよ。」
にこっと笑って、そういえば…と続ける。
「さっき君が言ってた十二天、って何だい?」