第94章 今を生きる
「やっぱり、沢山居ると不安なのか?」
「まぁ…そうだね。ふふ、包丁にこんな話をするとは思わなかったよ。」
「俺、ここの皆が主を好きだって話聞いてたら、何だか嬉しくなったんだ。皆が主を大切に考えて、主も皆を大事に想ってる。それって幸せだろ?」
そうだね、と頷いた一兄が口を開く。
「私も初めてここに来た時、そう思ったよ。あの時はまだ今程人数も多くなかったし、こんな話をする事もなかったけど、それでも皆が主殿を大切にしてるんだなっていうのはすぐに解った。」
「一兄はいつから主が好きなんだ?」
「いつから…さぁ?いつからかな。でも、主殿の弟達への接し方や他の皆さんとの毎日の生活の様子を見ていれば、いつの間にか好意的になっていたよね。」