第94章 今を生きる
「うん、約束だよ。主殿や他の本丸の方々を驚かせないようにね。…それで包丁、先程鶴丸殿に包丁が色々聞き回っていると聞いたんだけど、何をしているんだい?」
「ん?あぁ、主が人妻…じゃなくてぇ‥主がどれだけ好かれてるか聞いてたんだぞ!」
好かれている?それは興味深いね、と笑った一兄が続きを期待するように少し身を乗り出す。知らなかった、兄って主の事になるとこんな顔をするんだな!
「ねぇねぇ、一兄は、十二天って知ってる?」
「十二天‥仏教の護法善神の事かな?それが何か?」
「おぉ!流石一兄なんだぞ!実は、兄弟の間で一兄や主が居なかった時に、その神様十二人に主を好きな奴を当て嵌めたらしいんだ!」
十二人も居るのか…そう静かに呟いた一兄が手元に視線を落とす。