第93章 白妙
「…そうだな、俺も主には主のままでいて欲しい。この本丸で、皆とにこにこ笑い合う主が好きだ。あの笑顔を奪いたくはない。」
うんうん、と嬉しそうに頷いた三日月が、では…と続ける。
「俺も本気になるが、良いな?」
「……ふん、主は俺が好きだからなぁ?本気になったところでどうなるか解りきっているがな。」
一瞬、殺気にも似たチリチリする気を漂わせた三日月にどきりとする。俺は何て物を作ってしまったんだろうなぁ…上辺だけの威勢がばれない様に三日月から視線を逸らした。
「はっはっは。まぁ、どうするかはこれからだな。何せ、あの主は逃げるのが上手い。今まで膝の上に居たのに、するりと逃げられてしまったからなぁ…」
もっと強く抱いていれば良かった。と溜め息をつく三日月に、胸を撫で下ろす。