第93章 白妙
「長谷部…しっかり聞いていたか?」
「ふふ、三日月は解りにくいですからね、そうなるのも当然ですよ。」
好いている、とは特別な意味でか?それとも短刀達が思う家族愛的な意味でか?…いや、もう本当は解ってるんだ、でも解りたくない。こんな刀が本気になったらどうなってしまうのか想像もしたくないんだ。
「どの意味で…」
「まだ解らんのか?お前がどれだけ主を想って俺を打ったか知らんが、俺にはお前と同じかそれ以上に強く想う気持ちがある。記憶を取り戻しつつある主が、話をしに来た時は、出来るならあのまま俺の傍に置いておきたかった程だ。」
お前は敵が多くて大変だなぁ?と笑った三日月が、俺の返答を待つ様に猪口をくるくると揺する。こいつなら、あの時の主を上手く言いくるめられたんじゃないか?なのになぜしなかった?