第93章 白妙
「長谷部さん、主君が待ってますよ!」
「ほら、早く次へ行ってやれって。言いたい事があるなら捕まえて直接言わなきゃ、男じゃないぜ!」
バシッと音を立てて叩かれた背中が痛い。っつ…厚の奴本気でやったな。 まぁ良い、厚の言う通りだ。ごちゃごちゃと考えるより見付けよう。
待たせるのは俺の趣味ではないしな。
「ああ、解った。だが俺からも主に伝えて欲しい事がある。覚悟しておいて下さいね、と。」
任せろ!と走って行く短刀達。その後を追えば、主はすぐ見付かるだろうがそれをしては元も子も無い。主は俺自身に見付けられるのがお望みの様だしな。
「‥さて、来派の眼鏡の所へ行くか。」
背中を擦りながら明石を探すと、見回したところで、目の合った同田貫に手招きされた。