第93章 白妙
(おーい、おーい!あれ?)
「……今、確かに聞こえましたよね?」
確かにそう聞こえた。と言うか、もう誰の声かは予想が付いた。なぜ解らない?一期一振。
「ひっ!!お、お化けだよきっと!」
「お化け…!いや、断じて怖くはない。」
「……。」
「長谷部殿?」
無言で倉庫の前へ行き、そっと扉を開く。そこにはいつも通りに、きっちり分けられた資材と沢山重なる小判箱が並んでいる。
「は、長谷部さん、大丈夫?」
乱が恐る恐る顔を出し、発した言葉に反応した様に一番下になっていた小判箱が音を立てて揺れる。
ガタンっ!!
「ひっ!?一兄、お化けだよ!
「なっ、乱下がりなさい。」
(…一兄!?一兄がおると?)
やっぱりな、思った通りだ。上に重なった小判箱を退け、一番下になっていたそれの蓋に手を掛ける。