第89章 夢路
「え、ちょっ!?」
怒りに任せて、掴んだ腕をこちらへ引っ張り、薬をこいつの指先ごと啣える。
「………苦いな、飲み込みにくい。」
「やだ‥飲んじゃった?」
べっと舌を出して見せると、困った様に首を振り、元気な人への薬は毒なんだよ?と握った手を叩く。
「…眠れなかったから飲むんだろ?不安だったからか?」
「え?」
「あんた、俺達と一緒に寝ている意味は何だと思ってる?」
「あのっ……」
不安にさせない様に、しっかり眠れる様に、沢山の薬を飲ませない様に、寂しくない様に、そう思ってしてきた。
なのにどうして、そんな状態でこいつはさっき起こしてくれなかった?今までもそうしていたのか?
それに、死んでも良いと思っていた頃にしていた事を、今でもしてるのは何故だ?
俺はそんなに頼り無いか?