第89章 夢路
薄く開いている扉の中から、紙が擦れる様な乾いた音が聞こえる。
「……おい。」
「っ!?伽羅ちゃん!はぁ‥びっくりした。」
ごめんね、おこしちゃった?と苦笑いしながら、手にしていた箱を閉める。透明な硝子で出来た区切りの付いた箱の中には、きらきら光る銀や青が見えた。
「いや……あんたこそどうした、眠れないのか?‥それは?」
「ん?あー、薬箱。」
こうして宝石箱に入ってると、薬のケースが光って宝石みたいで綺麗でしょ?と、一錠ずつに切り離され、種類毎に分類された錠剤を指差す。
は?綺麗?…いや、そういう問題じゃないだろ。この量はおかしいんじゃないか?
「…飲むのか?こんなに?」
ううん、と首を振って、取り出していた分の薬を掌に乗せ見せる。