第88章 四月一日
「大丈夫ですよ主、いつもの事じゃないですか?鶴丸の奴の事です、また驚きとかなんとか‥ね?」
「…うん、だ、よね?」
あはは、と苦笑いする主の背中を撫でて、ベッドへ座らせた。
しかし、何故あの時に言ったんだ?何か意味があったのか?わざわざ時間を聞いたのも気になる。またわけの解らん悪戯を考えているんだろうが、笑える様な冗談ならまだしも、主を不安にさせるとは以ての外だろう。朝になったら灸を据えねばならんか…
そんな事を考えていると、俺の手をきゅっと握った主が、こちらを覗き込む。
「あの‥長谷部は辞めるとか言わないよね?」
もう居なくなったりとかしないよね?と、視線を彷徨わせながら不安そうに呟いた。
また、今更な事を考えるお方だ。有り得ない、そんな事俺が言う筈無いのに。