第86章 来歴
「あるじ‥」
「……長谷部?」
振り向くと扉の隙間から長谷部が覗いている。慌ててノートを閉じると、机の引き出しにしまった。
「ど、どうしたのかな?そんな所で‥こっちおいで?」
とぼとぼと部屋へ入ってた長谷部が私の前で止まると、しょんぼりした様子で話始める。
「‥その、昨日買い出しへ行ってから、主が余所余所しいというか…夕飯の後も、鶴丸達と猫部屋へ籠られてしまいましたし。」
ヤバい、可愛い。
大きな犬が耳と尻尾を垂らしてしゅんとしてるみたいに見える。
「本丸や政府とやり取りなさってるのは承知しています。ですが俺を避けてる様な‥」
いや、避けてないよ!寧ろ長谷部の事ばっかり考えてるよ!
とは言えないしな、どう誤魔化すか。