第86章 来歴
「ん?あ、ごめん、考え事してた。」
「僕が居るのに考え事?‥そんなにぼーっとしてると、キスしちゃうよ?」
右肩に手を置き、耳元でそう囁く声にどきりとする。
「え!?いや、あの…」
冗談だよ!と笑いながら、そのまま後ろから私を抱える様にしてパソコン画面を覗く。
「長谷部君の来歴かい?あと、こっちのは家紋だよね。」
「うん、五瓜に唐花。加州にあげたストールみたいに刺繍も良いかな?って思ったの。でもさ、長谷部の家紋って織田木瓜紋じゃないのかな?五瓜に唐花だと織田さんじゃなくて柴田さんなんだよね…」
調べる程解んなくなる。難しいんですよ、とみっちゃんを見上げると、少し考えてから、家紋の映し出された画面に指を指す。