第85章 暦
「「主、申し訳有りません、私が目を離した隙に…」」
「「おや、蜻蛉切。何処へ行っていたんデスか?今、自己紹介を済ませたところデスよ。この方達が出掛けると言うので、聞いていたのデス。」」
ぽん、と短刀二人の背中を叩くと、ギョッとした顔で固まる。
…また賑やかになったもんだな。困惑の表情を浮かべるこいつと本丸の短刀二人が可笑しい。
「「皆誤解していますが、村正は悪い奴ではないのです。」」
「う、うん。不思議な人だけど魅力的だとは思うよ?‥うちの本丸に馴れるまでは蜻蛉切に任せて良いかな?」
「「は、責務を果たします。主の本陣への一日も早い帰還をお待ちしております。」」
深々と一礼して、千子を引き連れて部屋を出る。それを見てほっと溜め息をついた短刀達がこちらへ向き直った。