第85章 暦
「…は?あんた何言ってるんだ?」
朝、疲れた様子で部屋から出てくるなり俺の腕を掴んで一言、癒しを下さい、だと。‥意味が解らない。
「あ、伽羅ちゃんおはよう。主ちゃん、本当ごめんって‥」
後から出てきた光忠とへし切が苦笑いしている。
「…何だ?」
「や、ちょっと‥ね?」
「主、昨夜はすみませんでした。しかし癒しなら俺が‥」
俺の後ろへ隠れて、今は満タンだから大丈夫です!と顔の前で手を振る。
「もう、お腹いっぱい…」
「……あんた達また‥」
はぁ、と溜め息をついて二人を睨むと、僕達は朝食を作るからと足早に通り過ぎた。
「…大丈夫か?どうせまた無理をされたんだろ。」
「長谷部の言う事聞かなかった私もいけなかったんだ。」
予想は付くが、深くは聞かないでおくか。頭を撫でると、目を細めて、伽羅ちゃんのなでなでは落ち着くよ、と微笑んだ。