【黒子のバスケ】 囚われ王女と獣の城 【裏夢R18】
第7章 変化
貴女「黒子君…」
こうやって直接話すのはずいぶんと懐かしい気がする。しかし私はうれしさよりも申し訳なさの方が占めている。
黒子「#NAME1#姫…」
いつもとは違う黒子君の身軽な姿に違和感を感じたが辛そうな彼の顔を見ると何も言えなくなってしまいそうになる。
貴女「…私、あなたに合わせる顔がないわ……。本当に…ごめんなさい……」
涙が頬を濡らした。泣くつもりはなかったが自分の不甲斐なさのせいで黒子君を巻き込んでしまったことに対しての悔しさが涙になってしまった。
黒子「姫…貴女は本当に優しい人だ。」
彼は私の涙を優しくぬぐい、少し強く抱きしめられた。黒子君の香りに包まれ、鼓動を感じる。なぜだろうか、すごく落ち着く。
黒子「攻めるべきなのは貴女ではなく僕です…姫をあっさりと花宮君に奪われ、助けに行ってもあっけなく捕らえられ、おまけに姫が帝国のものとなってしまわれた…僕は無力です。」
黒子君の手が震えている。私には彼の気持ちが痛いほどよくわかる。きっと黒子君も私と同じ気持ちなのだろう。
黒子「だけど、姫が僕を選んでくれた時は正直とてもうれしかったんです。帝国の王女になってしまっても傍にいれるんじゃないかって…僕は騎士失格ですね。」
私は彼の背中に腕を回して抱きしめ返した。
貴女「ありがとう。たとえ貴方が騎士失格だったとしても私は…貴方のそういう優しいところ好きよ。」
黒子「え…」
貴女「貴方もここにいてくれてよかった。クスッ私も誠凛王女失格ね。」
黒子君の素直な気持ちを受け止めると私も素直になれた。それが少し嬉しくて笑みがこぼれた。
黒子「#NAME1#姫…たとえ貴女がどこにいようと僕は貴女を守ります。今度は必ず…僕は、誠凛でも帝国でもなく#NAME1#姫のナイトになります。」
彼は私の手を取り跪いた。
貴女「ありがとう、私のナイト様…」
私がほほ笑むと黒子君も当分見せていなかったであろう笑顔を私に向けた。だがその笑顔が真剣な顔に変わった。
黒子「姫、一つだけ言わせてください…帝国には飢えた獣がたくさんいます。くれぐれも気を付けてくださいね…」
そう忠告して一礼をして部屋を出て行った。