第95章 ある日の山③
ポコッ。
ポコポコッ。
ソファーで隣に座るしょおくんと被り物が当たる度に、ポコポコと音がする。
お揃いの、ふわふわした白い被り物。
やっぱりね、おいらとしょおくんは何か通じあってるんだろうなぁ。
「んふふふふ」
「智くん、そんなに嬉しいの?」
「うん」
「まぁね、俺も同じだけど」
ポコポコポコッ…ポコンッ。
「あはははは」
「ふふっ。楽しい」
「うん、楽しいね」
おいらたちの番組の中で、しょおくんがプライベートでHalloweenをしたことがあるって知った。
おいらとは、したことないじゃん。
何だかモヤモヤしたおいらは、しょおくんに正直に伝えた。
そしたらね、イベントごとが好きじゃないおいらを気遣って「Halloweenしたい」って今まで言えなかったんだって。
ふふっ、しょおくんは本当に優しいね。
だから「今年は二人でHalloweenしよ」っておいらからしょおくんに提案した。
いいの?って瞳をうるうるさせて可愛い顔するから、その場で押し倒しちゃったけど。
それから1週間後、おいらの家でしょおくんとHalloweenをすることになって。
お互いにどんな仮装をするかはヒ・ミ・ツにしてたんだけど…
リビングのソファーに座ってるしょおくんの後ろ姿を見てびっくりした。
しょおくんもおいらと同じく
『ポップコーン』
を被ってたんだ。
後ろからゆっくり近づいて頭を当てたら“ポコンッ”って音がして。
振り向いたしょおくんのキョトン顔が可愛くて、チューしちゃった。
かれこれ5年くらい前にアルバムのジャケットやコンサート衣装で被っていたソレ。
気に入ったおいらは、コンサート終了後にもらってきてたんだ。
しょおくんももらってたなんて…あの時のおいらに感謝しなきゃだなぁ。
「しょおくんはさ、ポップコーンみたいに肌も白いからさ、めちゃめちゃ美味しそう」
おいら、ヨダレが出てきた。
「智くんだって…日焼けした肌がいい味だしてる」
「んふふ。じゃあさ…味見してもいい?」
「うん…優しくしてね」
「あっあっあっ…」
しょっぱいどころか、甘い甘いしょおくん。
塩味じゃなくキャラメル味みたい。
「んふふ。おいしぃ…」
被り物にシワができちゃうかな。
イベントも悪くないかも…
ねっ、しょおくん。
END