第13章 受験番号○○○○
高校の受験日。
「ねぇ。それ…キミのじゃない?」
斜め後ろの席の子から声がかかった。
周りの子達は僕の足元にあるソレと僕をチラッと見て…同情したような顔をして視線を反らした。
足元にあるのは長方形の大事なもの。
やってしまった…あ~終わった…。
こんな引きの弱さはいらないのに。
僕はソレを拾い、机の左端に置いた。
「キミの受験番号、めちゃめちゃいいじゃん。」
僕の席に知らない男の子がやって来てそう言った。
受験番号?
不思議に思っていると、その子はふにゃんと柔らかい表情をした。
「頑張ろうね。俺の名前くん。」
その子はそう言って、後ろの方に歩いていった。
“俺の名前くん”…?
僕の受験番号は『3104』。
さっき机に置いたソレ。
語呂合わせで気づいた…
キミの名前は
“サトシくん”
この引きの強さは、一番の宝物。
END