第12章 step & go
あの時は本当にびっくりして…今頃になってドキドキが止まらない。
心臓が飛び出るんじゃないか、っていう表現がよく分かる。今の俺がまさにそうだから。
好き…好き…好き…好き…好き…
あの櫻井くんに「好き」って告白された。
櫻井くんのことは嫌いじゃない。
でも好きかといえば、またそれは違うのかな…かっこよくて、頭がよくて…憧れてはいるけど。
「お友達からお願いします。」なんて改めて言われると、なんだか照れくさかったな。
ふふっ、はにかんでるの可愛かったなぁ。
真剣な顔はめちゃめちゃカッコ良かったし。
間近で見ると、本当に大きな目とぷっくり唇なんだなぁ。
無敵そうなのに、手を震わせてたし。
…あれ?俺、ずっと櫻井くんのことばかり考えてる。
俺の頭の中…櫻井くんでいっぱいじゃん。
告白されたから意識してるんだろうけど…イヤじゃない、心地いいドキドキ感だ。
なんか幸せな気持ち。
「よし!」
俺は胸に握りしめていた、櫻井くんから貰ったバレンタインチョコを口にした。
「うん。うまいな。」
櫻井くんがいう好きとは今はまだ違うけど…俺ももっと櫻井くんのことを知りたいと思う。
「櫻井くん、おはよう。」
「あ、おはよう、大野くん。」
まずはここから始めていこう。
勇気を出して
きっかけをくれたキミに…
「よろしくね、櫻井くん。」
俺の心に桜が咲いた。
END