第73章 2017*11*3
「ん?あぁ、熱はないみたいだから。うん、ありがとね。ニノと相葉ちゃんにもよろしくね、はーい」
松潤との電話を切る。
今日11月3日は、俺たち嵐がCDデビューした日。
18周年のお祝いで、夕方からメンバーみんなで松潤の行きつけの店に集まる予定だった。
「智くん…行ってきていいのに…」
「またそんなこと言って。風邪気味な翔くんを一人にはできないでしょ…っていうかさ、俺が翔くんのそばにいたいんだから」
ベッドで翔くんに腕枕し、セットされていないサラサラの髪を優しく撫でる。
「んっ…きもちいい…ありがと…」
「ゆっくり休みなね」
コクッと頷く翔くんは子どもっぽくて。
幼い感じが、出会った頃を思い出させる。
ちっちゃかったのに、今では俺より大きくなっちゃったもんなぁ、心身ともに。
ニノも松潤も相葉ちゃんも…みんなが嵐を支える大切な存在になっているんだ。
「…さとしくん」
「ん?どうした?」
「えっとね…」
俺の服を指先でキュッと掴むから…キュンとした。
「俺たちのデビュー曲をね、歌って欲しいの…いいかな…」
「んふふ、いいよ」
♪♪♪♪♪…
腕枕してないほうの手で翔くんの肩を軽くトントンしながら歌うと…
歌ってる途中で翔くんの瞼が閉じ、寝息が聞こえてきた。
明日からもまた忙しくなるから…
穏やかな寝顔に、なんだか安心した。
「んふ。翔くんのパートのラップもさ、頑張って歌ったんだけどなぁ…翔くん、聴いてくれてた?」
寝ている翔くんにそう呟く。
翔くんの口元が微かに緩み、笑ったような気がした。
END