第47章 戸惑うこともあるけれど
智くんが、俺をギュウッと抱きしめる。
暖かくて心地いい。
「翔、大丈夫?」
智くんが心配そうにしている。
「うん、大丈夫だよ。次の時は、ゆっくり堪能させてあげるね。」
「うぉっ。期待してる。」
智くんが目をキラキラさせた。
「俺はさ。翔が思ってる以上に翔のこと好きだよ。」
「智くん…。」
「本当はもっと大切にしようと思ってたのに、付きあって1ヶ月で…しちゃったけど…。」
「でもそれは…あの時は俺もしたかったわけだし…。」
「他の人に取られないよう必死でさ。」
「智くん…。」
智くんが俺のおでこにキスをする。
「翔がさ、俺のこと大好きなのわかってて、無理言ってたなって。」
「そんなことないよ。これからはさ、学校でも仲良くできるわけだし。」
お互いに手を握りあう。
「んふふ。」
「ふふっ。」
「明日、学校で待ってるから。」
「うん、わかった。」
翌日学校に行くと、智くんと目があった。
「おはよう、翔。」
えっえっ…いきなり…?
それなら俺も…
「お、おはよう…智くん。」
クラスの皆が俺たちを見てポカーンとした。
その顔を、俺はずっと忘れないだろう。
「智くん、昨日のノート写させて。」
「いいよ。はい、これ。」
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
初めて一緒に過ごす昼休み。
ドキドキする自分がいた。
END